犬を飼う際に気をつけたいことの1つが、フィラリア症です。
フィラリアは寄生虫で、犬の体に侵入して成長した寄生虫が肺や心臓に棲みつくことで起こります。
感染源となるのは、すでにフィラリア症になっている犬の血を吸った蚊です。
蚊は、吸血した際にフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)を取り込みます。
ミクロフィラリアは体内で成長して感染能力を持つと血器官に移動し、蚊が別の犬の血を吸ったときにその体内に入り込むのです。

幼虫に感染した直後は、犬にほとんど変化はありません。
犬の体に入った幼虫は皮膚下や筋肉などでゆっくり成長していき、成長してから血管に入り込んで心臓などの最終的な寄生場所まで移動します。
最終寄生場所にたどり着いてからも、すぐに何かがあるわけではありません。
しかし、長期間にわたって棲み続けるうちに血管や器官が傷つき始め、次第にその機能を低下させはじめます。
この段階になってはじめて、さまざまな症状が見られるようになるのです。
そのため、飼い主が犬に定期検査を受けさせていなければ、症状が進行してから気づくことも珍しくありません。

フィラリア症の主な症状は、乾いた咳をする、食欲をなくす、なんとなく元気がなく運動を嫌がるといったものです。
さらに進行すると、腹水がたまってお腹がふくらんできたり、臓器の機能不全に陥ったりするようになります。
最悪の場合は心臓弁にフィラリアが絡まって死に至ることもありますので、愛犬の体調が良くないようだと気がついたらできるだけ早めに受診することが大切です。

フィラリア症はきちんと予防をすれば完全に防げます
もっとも確実なのは蚊に刺されないことですが、これはあまり現実的な方法とはいえないでしょう。
そこで、注射や飲み薬などを使って予防することが必要になります。

予防薬の多くは、フィラリアの幼虫が体内に入ることを防止したり、体内に入った幼虫を駆除したりはできません。
幼虫が体内で成長する過程で駆除を行います。
そのため、たとえば10月に与えた予防薬は10月以降の感染に備えるためのものではありません。
8月や9月に侵入して成長しつつあるフィラリアを駆除するためのものなのです。
蚊の活動時期が10月ごろまであることを考えると、5~11月末までは予防を怠らないことが大切です。

予防薬には、注射、飲み薬、滴下型などがあります。
滴下型は犬の後頭部あたりにスポイトの中身を垂らして使うタイプです。
肌から体内へと浸透していき、効力を発揮します。

月に1回の滴下が必要です。
飲み薬にはおやつタイプと錠剤タイプとがあります。
こちらも毎月投与することが必要です。
注射は獣医師が行い、1度打てば約1年間効力が続きます。

予防を行う際大切なのは、愛犬がフィラリアに感染していないかを投与前に調べることです。
感染している状態で予防薬を注射したり投与したりすると、ショック症状を起こすことがあります。

フィラリアの治療にかかる費用

特にフィラリアの予防措置をとっておらず、犬の様子に元気がないなどの異常が見られた場合は、できるだけ早く獣医師の診察を受けましょう。
早期に発見できれば治る可能性も高まりますが、重症化してしまうと治療できない可能性もあります。

感染しているかどうかは、血液を採取して調べます。
成虫がいるかどうかを調べる免疫学検査と幼虫の有無を調べる検査です。
動物病院は自由診療ですので、それぞれの病院で自由に料金を設定しています。
そのため、これはあくまで目安ですが、この検査にかかる費用は1000~3000円程度でしょう。

感染しているようであれば、レントゲン検査や超音波検査などを行って感染状況の確認が行われます。
治療の方法は体内にいる幼虫や成虫の数、感染状態、症状などによって異なりますので、費用もそれに応じて変わります。

主な治療方法は、外科手術による除去と薬剤による駆除です。
外科手術は、大動脈症候群になっているケース、肺動脈に大量のフィラリアがいるケースなどで行われます。
手術は、犬に全身麻酔をかけて頸動脈から特殊な鉗子を挿入し、つまみ上げて取り出すというものです。
費用は、病院によって異なりますが、8~10万円が相場でしょう。
日帰り手術のところも多いです。
入院する場合は、別途入院費用が数千円かかります。

薬剤による駆除は、手術よりも身体的負担は少ないですが、死んだフィラリアの成虫によって血管が詰まる可能性があり、慎重な判断が必要です。
また、あまり症状がなく成虫が少ない場合は、予防薬の投与が行われることもあります。
フィラリアの症状が見えたら通販で治療薬を買うこともできます。
万が一に備えて手元に置いておくことも大事でしょう。

手術や薬剤の投与が危険だと判断された場合は、咳や腹水などの症状を緩和する対症療法がとられることもあります。
心臓に負担をかけないように静かに過ごさせ、栄養のある食事や療養食を与えるように指導されます。
費用は、対症療法の内容や期間、病院によって大きく異なりますので、いくらということはできません。

対症療法をとる場合、フィラリア自体は体内に残っているため悪化して死に至ることもあります。
愛犬が大切であれば、きちんとワクチンや予防薬の投与などの予防措置を行うことが何より重要でしょう。

なお、フィラリアは犬の病気で知られていますが、猫でも感染します。
猫が感染した場合、多くは肺に症状が現れます。
猫のフィラリアに対しては有効な治療は確立されていないのが現状で、死んでから感染に気付くことも多いです。
室内外の猫でも、家に侵入してきた蚊に刺されるなどして感染することがありますので、ワクチンや滴下タイプの予防薬などでしっかり予防を行いましょう。